コラム

妹と相続でもめています(死因贈与契約の有効性について)

相談内容

私は大阪在住の者です。現在、妹と相続でもめています。

去年、入院していた父が亡くなりました。遺産は数千万円の預貯金と多少の株式、それと自宅の不動産です。母は既に他界しており、相続人は私と妹の二人です。

遺言書はなかったので、普通に2分の1の法定相続と思っていたのですが、妹の代理人の弁護士から「妹と父の間に死因贈与契約が成立しているため、全財産は妹のものである」と主張する手紙が届きました。遺留分は保証されますが、4分の3は妹のものだと言うのです。

その弁護士に電話で「何か証拠はあるのですか」と質問すると、父の手帳に「よく看病してくれた○○(妹の名)夫婦に感謝しています。よって○○に全財産を譲ります」と書いたメモがあるとのことでした。後で実物を確認したところ、確かにそう書かれていましたが、日付や押印は無く、字も乱雑で、父が書いたものかどうかはハッキリ分かりませんでした。

父は入院中にこれを妹に見せて「お前に全財産をやる」と言い、妹は「わかりました」と答えたのだそうです。

父の入院中、看病したのは妹夫婦です。私はほとんど見舞いに行けませんでした。その点で父が妹に感謝するのはわかりますが、かといって私は相続の権利を失うほどの悪行はしていません。もちろん私には犯罪歴もありません。

そもそも、妹が死因贈与契約など知っていたと思えませんし、実際、父が本気で妹に財産を多く残したいなら遺言を書けば良いはずです。

私は妹の弁護士に呼び出され、その際には諸々の手続きを行うので実印を持参するよう言われています。妹の弁護士は死因贈与契約が絶対であるかのように言いますが、このような理屈が通るなら、遺言の厳しい要件はまるで意味をなさなくなるように思えますが、私には妹の弁護士が無理を言っているのか常識的なことを言っているのかわかりません。

この点のご見解や私の取り得る法的な対抗手段を教えていただけないでしょうか。

弁護士中村真二の相談回答

1 死因贈与契約とその有効性等について

死因贈与契約が成立する場合に「妹の弁護士」のいうように、

というのは、残念ながらその通りです。

遺言と異なり、死因贈与契約とは、あくまで当事者双方の意思の合致により、効力の発生が認められる通常の契約ですので、その成否や効力は、一般の契約の規律に従うことになります。そして、一般の契約は、口頭でも成立し得ますので、仮に死因贈与契約が本当に成立しているのであれば、上記の「妹に対する権利の移転」は成立し(但し、遺留分の主張は可能)「遺言の厳しい要件はまるで意味をなさなくなるのではないか」というのもその通り、ということになります。

但し、これは「仮に死因贈与契約が本当に成立しているのであれば」というのがミソで、通常の契約同様、本当に「死因贈与契約が成立しているのか」という点は、裁判所も厳格に判断いたします(勿論、証明責任は「妹」側にあります)ので、単に「父が口頭でそのように言っていた。自分も「分かった」とそれに答えた。」という妹さんの証言だけで容易に認められるものではありません。

ご相談いただいているように

お父様の手帳に「よく看病してくれた○○(妹の名)夫婦に感謝しています。よって○○に全財産を譲ります」と書いたメモがある

とのことですが、

などを具体的かつ実質的に判断し、本当に死因贈与契約が成立しているかどうかを厳密に判断していくことになります。

若干補足説明いたしますと、こちら側に「死因贈与契約の不成立」を証明する責任があるわけではなく、先方(妹側)が「死因贈与契約の成立」を証明する責任があります。

そのため、「成立したかどうか、ハッキリ分からない」という場合には、「死因贈与契約は成立していないもの」として扱われることになります。(つまり、こちら側の主張が認められることになります。)

「厳密な判断」の結果、裁判所が「死因贈与契約が成立していない」という判断になれば、ご相談者の方は通常の法定相続の権利を取得することになります。

反対に、裁判所が「死因贈与契約は成立している」と判断をした場合はご相談者の方は遺留分の範囲の権利を取得するに留まりますが、今回のご相談内容をお伺いする限りは、本当に死因贈与契約が成立しているかどうか色々疑義がありますので、現在、直ちに死因贈与契約の成立を認める必要はない印象を受けます。

2 「妹の弁護士」に対する対抗手段

以上の1を前提に、ご相談者の方の取り得る法的な対抗手段について説明しますと、まずは、死因贈与契約 が成立していないことを確認する裁判を妹側に対して起こす方法が考えられます。

時効の問題もあるので、死因贈与契約が成立している場合に備えて予備的に遺留分の請求はしておくべきです。但し、それはあくまで「仮に死因贈与契約が成立している場合」の話であり、予備的に遺留分の請求をしたからと言って、死因贈与契約が成立していないことを確認する裁判を妹側に対して起こせなくなるわけではありません。

3 まとめ

以上の通り、

ということになります。

弁護士 中村 真二

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